住宅や建物の外壁を見たとき、目地(継ぎ目)の部分にゴムのような素材が埋め込まれているのをご存じでしょうか?それが「シーリング」です。見た目以上に重要な役割を担っているこのシーリング材について、特徴やメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
シーリング材(コーキング材とも呼ばれます)は、外壁の継ぎ目や隙間に充填される弾力性のある材料です。建物の構造上、サイディングボードなどの外壁材は複数のパネルを組み合わせて構成されています。これらのつなぎ目から雨水や湿気、風、ホコリなどが侵入するのを防ぐために、シーリングが使われています。
防水性の確保:雨水の侵入を防ぎ、内部の構造材を腐食から守る。
気密性の向上:風の侵入を防ぐことで、室内の快適さを維持。
伸縮や振動の吸収:建物の揺れや温度変化による膨張・収縮に柔軟に対応。
美観の維持:目地部分の仕上げとして、外観を美しく整える。
シーリング材にはさまざまな種類があり、用途や性能によって使い分けられています。外壁用に使用される代表的なものを紹介します。
特徴:塗装との相性が良く、塗装の上から施工できる。耐久性と接着性に優れる。
用途:サイディングの目地、窓回りなど幅広く使用。
耐用年数:約10~15年。
特徴:密着性が高く、防水性に優れるが紫外線に弱い。
用途:内外装問わず使用されるが、特に下地処理材として多用。
耐用年数:約7~10年。
特徴:非常に耐久性・耐候性に優れ、水回りに強い。ただし塗装できない。
用途:外壁以外にもキッチンや浴室などの水回りに使用。
耐用年数:約15~20年。
シーリング材を正しく選定し、施工することによって得られるメリットは多岐にわたります。
外壁の継ぎ目からの雨水侵入を防ぎ、建物内部への被害を最小限に抑えます。
シーリングが外部環境から建物を守ることで、外壁材や構造材の劣化を遅らせることができます。
外部の風や音の侵入を防ぐことができ、断熱・遮音性能を高める効果も期待できます。
均一に打設されたシーリングは、外壁全体を引き締める効果があり、見た目にもきれいな仕上がりになります。
メリットが多い一方で、シーリングには注意すべき点やデメリットも存在します。
シーリング材は紫外線や雨風の影響で、徐々に硬化・収縮・ひび割れが発生します。放置すると雨漏りの原因に。
一般的に10年前後での打ち替えまたは打ち増しが必要となります。外壁塗装のタイミングに合わせて行うのが理想的です。
使用するシーリング材と外壁の相性が悪いと、密着不良や早期劣化の原因になります。専門業者による判断が欠かせません。
適切なプライマーの使用や施工方法を守らないと、早期に剥がれたり、隙間ができてしまう可能性があります。信頼できる施工業者の選定が重要です。
シーリングの劣化は見た目にもわかりやすく、下記のような兆候が現れたらメンテナンスのタイミングです。
表面にひび割れがある
弾力がなく硬くなっている
目地からシーリング材が剥がれている
雨漏りが発生している
劣化が進むと部分的な補修では済まず、全面打ち替えが必要になることもあります。10年を目安に点検を行うことをおすすめします。
シーリング工事には主に以下の2つの方法があります。
既存のシーリング材を完全に撤去し、新しいシーリング材を充填する方法。劣化が進んでいる場合は打ち替えが基本。
既存のシーリング材の上に新たにシーリング材を充填する方法。軽度な劣化や応急処置として行われますが、耐久性では打ち替えに劣ります。
外壁のシーリングは、目立たない部分ではありますが、建物の耐久性や居住性に直結する重要な存在です。定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りや構造材の劣化を防ぎ、長く快適な住環境を保つことができます。
新築時や外壁塗装を検討している方は、ぜひシーリングにも注目して、建物を総合的に守る施工を選びましょう。
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